こんなん観ましたけど。

帰ってきました!

『湯殿山麓呪い村』。

湯殿山麓呪い村

 配信サイトで映画『湯殿山麓呪い村』(1984年、池田敏春監督)を観た。

 光華学園大学史学科講師・滝連太郎(永島敏行)は妻子がいながら、淡路慶子(永島暎子)と愛し合っていた。滝は、湯殿山麓弥勒寺の幽海上人の即身仏と『一切口外すべからず』という口伝書が残され、御堂の地下にひっそりと隠されたままなのに興味を持った。即身仏は入定後、三年経つと土中より掘り起こされ、礼拝の対象となるはずである。天明の大飢饉は布教のPRに絶好の機会ともいえる、幽海上人は何らかの理由で寺に逃げ込んだ犯罪者で、寺の者が無理矢理ミイラに仕立てあげたのではないかと、滝は仮設を立てた。彼は発掘するため、湯殿村出身である慶子の父親・淡路剛造(織本順吉)に協力を依頼した。剛造の屋敷に脅迫状とミイラ化した手首が届けられた。彼は急に発掘資金の援助を中止すると言いだす。その夜、剛造はバスルームで変死体となって発見された…。

 大好きな池田敏春監督作品であり角川映画だが、側近だった人物の著書の記述にあった様に「角川春樹は違う作品に夢中で、本作には余り力を入れてなかった。」らしいのが何となしに分かる。製作はセントラルフィルムが仕切っていたからか出演者が地味というか渋すぎる。冒頭から今井健二、深江章喜、高橋明って。時代劇の悪役やん。主人公にたたっ斬られる人らやん。他にも織本順吉、永島敏行、永島暎子、清水宏、中川梨絵、北見敏之、三谷昇…。土曜ワイド劇場やん。ロマンポルノファンな自分には刺さる配役やけれども。極めつけは、池田敏春やし。確かに『魔性の香り』や『天使のはらわた赤い陰画』みたいなジメッとした世界は嫌いやないし大好きなやけど、それをバブル期の角川映画でやるかえ。どうかしてるぜ。脚本が荒井晴彦と佐伯俊道なので堕ちた女の情念で胸焼けする。犯人が犯人だけに、そんな手の込んだ事せんでも感があった。そもそも永島敏行演じる主人公が、小悪党で感情移入出来ない。世紀のミスマッチで生まれた珍品で怪作だ。 

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『アフリカ残酷物語/食人大統領アミン』。

映画パンフレット アフリカ残酷物語・食人大統領アミン(1981作品) 編集・発行:松竹株式会社事業部(A4版) 監督: シャラッド・パテル  脚本: ウェイド・ヒューイ  出演: ジョセフ・オリタ

食人大統領 アミン [VHS] ビデオ

 映像ソフトで映画『アフリカ残酷物語/食人大統領アミン』(1981年、シャラド・パテル監督)を観た。

 ウガンダの独裁者だったイディ・アミン・ダダ(ジョセフ・オリタ)が、クーデターで権力を掌握し失脚するまでを描く。

 映画ライターの後藤健児さんが、著書『さよなら、レンタルビデオ』に記述されたエピソードによるとVHSレンタルショップを経営された時に初めてレンタルされたのが本作らしい。ショッキングなシーンを売りにした割には中身はドキュメンタリータッチでちゃんとした作りになっている。自らの虚栄心や欲のみに気を取られ、民衆の実態に無関心でいる為政者は呆気なくひっくり返る。稚気で無邪気な害悪ぶりをジョセフ・オリタが好演している。

『エキサイティング・エロ 熱い肌』。

 映像ソフトで映画『エキサイティング・エロ 熱い肌(原題:Gimme Shelter)』(1986年、佐藤寿保監督)を観た。

 17歳の誕生日を迎える双子の姉弟(陽星真見子、渡剛敏)、下着姿でエアロビクスに励む母親(水上乱)、若い男性を追いかけ回す父親(皆川衆)。常軌を逸した異常な一家の崩壊と倒錯した日常…。

 佐藤寿保版『逆噴射家族』。でも、冒頭は『家族ゲーム』っぽく始まる。盗聴、同性愛、近親相姦…。家族それぞれが狂気と性欲を隠しながら終末に向かって壊れていく。じゃがたらやINUなど当時のアングラ音楽と作風がぴったりはまっていた。父親役で『美少女仮面ポワトリン』などに出演していた皆川衆が、少年愛を炸裂させる怪演を見せている。何より政治家から家族の絆やらが叫ばれる現在と比べてバブル期の80年代に家族破壊の映画が多く作られている事に気づく。四十年前の作品だが、佐藤寿保の破壊衝動は変わらない。


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『裂けた鉤十字』。

裂けた鉤十字/ローマの虐殺 [DVD]

 映像ソフトで映画『裂けた鉤十字』(1973年、ジョージ・パン・コスマトス監督)を観た。

 舞台は第二次大戦後期のローマ。 ナチス親衛隊のカプラー中佐(リチャード・バートン)は、パルチザンによるドイツ兵への爆弾テロの報復を実行する…。

 実際に起きた虐殺事件を基にした作品。軍人と神父の立場が違う者同士を通じて個人の責任と正義を問う力作。軍人が30人死んだから無関係の市民を300人殺すというナチスの道理は80年前の過去ではない。現在もイスラエルによるパレスチナへの報復という形で続いている。結局、人類は過去を振り返るのではなく繰り返す生き物だと、映画は教えてくれる。


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『叫』。

叫 プレミアム・エディション [DVD]

映画パンフレット 叫 さけび 黒沢清・監督 役所広司 小西真奈美 オダギリジョー 加瀬亮

映画チラシ 「叫」監督 黒沢清 出演 役所広司、小西真奈美、伊原剛志、葉月里緒奈

 映像ソフトで映画『』(2006年、黒沢清監督)を観た。

 湾岸地帯で女の死体が発見された。刑事の吉岡登(役所広司)は手口から連続殺人とあたりをつけ捜査を開始するが、その後死体周辺から自分の指紋が発見されるなど、不可解な出来事を目の当たりにする。もしや、知らぬ間に自分が殺したのか……? 自分自身の存在にすら自信を持てなくなった男の周辺に、やがて赤い服を着た謎めいた女(葉月里緒奈)が現れる…。

 「笑いとは緊張と緩和である。」亡き桂枝雀師匠の言葉を思い出した。笑いと恐怖は紙一重である。そういうギリギリの線を黒沢のきよっさんは突いてきよる。追い詰めた役所広司を置き去りにして飛んでいく葉月里緒奈が最高過ぎた。本作も黒沢清作品では定番である顔の見えない赤い服の女、カーテン越しの人影、観ていて「ハッ」とさせられるショックシーンは効果的に使われていた。それに加えて誰しもが持つ自己の存在証明であり承認欲求への渇望。しかし、「忘れられた」人間を葉月里緒奈が演じているのも皮肉が効いていた。最後に松田優作が生前語った言葉がある。「人間は二度死ぬ。一度目は肉体が滅びた時。二度目は、人々の記憶から忘れ去られた時だ。」映画には忘れられた人間の声なき叫びが木霊している。


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『ドッペルゲンガー』。

ドッペルゲンガー

(邦画映画チラシ ドッペルゲンガー ///注意:DVDではありません//監督:黒沢清 出演:役所広司  #1884

 配信サイトで映画『ドッペルゲンガー』(2003年、黒沢清監督)を観た。

 医療機器メーカーで「人工人体」を研究する早崎(役所広司)は、研究に行き詰まりスランプに陥っていた。ある日、彼のアパートに自分と瓜二つの男(ドッペルゲンガー)が現れ早崎に代わって人工人体の研究をあっという間に成功させてしまう。焦りと嫉妬から、早崎は分身を排除しようとするが、逆に分身は邪魔者を次々と殺害。早崎自身も殺人事件に巻き込まれていく…。

 ポスターと黒沢清の傾向からサイコスリラーになると思いきや一人の男の挫折と再生の物語だった。それでも人間が心底に持つどす黒い欲望や承認欲求が見え隠れする清っさんの演出は健在だった。ラストはキー坊らしくないほっこりしたものだったが、そんな黒沢清も悪くない。

『降霊』。

降霊 ~KOUREI~ [DVD]

  配信サイトでドラマ『降霊』(2001年、黒沢清監督)を観た。

 仲むつまじく静かな生活を送る、効果音技師の克彦(役所広司)と純子(風吹ジュン)。しかし一見平凡そうに見える純子は実は霊能者で、純子の力に興味を持つ大学院生の早坂(草彅剛)の紹介で降霊術を時々行ったりしていた。そんなある日、逃走中に事故を起こして犯人が意識不明になるという少女誘拐事件が起こる。

 本作はテレビドラマとして制作されたが、出来が良すぎて劇場公開された。個人的には祈祷師の哀川翔よりも亀頭師の清水大敬と山本竜二が出演していた事にニヤリとした。素晴らしきVシネ人脈。何度も指摘するが、やはりホラーは選択肢の物語。人生にとって最悪な選択は映画にとっては最良の条件となる。良好に思われた夫婦にも葛藤や承認欲求を隠し持っていたりする。そうした黒沢清の人間の心の澱を炙り出していく演出に観ている側は震え上がるしかないのである。


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